ジョージ・ハリスンの命日に添えて-11月30日2007年12月05日 14時45分21秒

All things must pass (George Harrison)
マスターのアッシーです。
12月1日(土)18時は「ジョージ・ハリスン特集」です。

 11月30日はジョージ・ハリスンの命日です。日本時間の2001年11月30日にロサンジェルスで死去しました(米国時間は11月29日)。この訃報を僕は当時のwebニュースサイトで目にしたのですが、その日の事は良く覚えています。

 その1年くらい前からガンという事は分かっていました。ジョージはその頃、「All things must pass」のデジタル・リミックス版をリリースしたり、「マイ・スィート・ロード」を軽めのアレンジで再録音したり、自分の最新アルバムを録音したりととても精力的でした。しかし並行して彼の自宅を暴漢が襲い、本人にも危害を加えられたが軽傷で何とか免れる等の事故も発生していたりしました。そして癌報道の後、大好きなインドを訪れてガンジス川を泳ぎ、南スイスの湖畔のモンタニョーラの別荘で過ごしたりと、世界中を転々と移動していました。最後はNYCかLAか、米国の病院に入院したのですが、そこでポールとリンゴが見舞いに訪れて、3人で話しをして、手を握って分かれたという報道を目にした事もあります。そして11月30日が来ました。

 死去した場所はロスアンジェルス市内のどこかは公表されていません。公表するとビートルマニアが聖地としてそこに殺到することを懸念してのことだそうですが、一説にはロス郊外にあるポール・マッカートニーの別荘ではないかと言われています。本当のことは分かりません。

 ジョージは1980年の年末にジョンが死んだとき、以下のようなコメントを発表しています。「彼とは肉体ではもう会えなくなったけど、魂は生き続ける。別の状態になっただけだ。また会えると思っているから、そんなに悲しんではいない。」ジョージらしいコメントです。彼の膝には当時まだ幼児だった息子のダーニがちょこんと乗っていました。今は20代後半の立派な若者です。それだけ時間が経ったということでもあります。
 ジョージは今もたまにジョンと会っているのでしょうか?

【1.Future notice(Larsen Feiten Band)】
 収録アルバム「Larsen Feiten Band」。今回のオープニングとエンディングに使用しました(イントロは割愛)。非常に軽快ですが、リズム隊は非常にタイトな曲です。大学時代同僚がこの曲をライブで演奏していて、まだライセンフェイトンバンドを知らなかった当時、「何だこの曲は?」と思った記憶があります。

【2.Geraldine (Yellowjackets)】
 収録アルバム「Spin」の1曲目。ジョージ・ハリスン特集と告げるトークのBGMで使用しました(イントロは割愛)。非常に「地球」を感じるアルバムで、この頃のイエロージャケッツは、地球に対し何らかの高い尊敬と意識を持っていたように感じます。精神性の高いジョージを紹介するのにはこの曲しかないかなと思い選びました。イエロージャケッツはロスのバンドです。

【3.Isn't it a pity ? (George Harrison)】
 収録大名盤アルバム「All things must pass」。さおここからがジョージ・ハリスン特集です。3枚組の彼のこのソロ・デビュー・アルバムは非常に優れたアルバムでしたが、当時4千円もしたので、中学生の僕には手が出ませんでした。この曲は僕がこのアルバムの中で最も好きな曲です。何度聞いても何だか元気付けられます。特に最後のリフが延々と続くところが。2バージョン収録されているがA面の方のテイクです。このアルバムは皆さん是非一度聞いてみて下さい。今はデジタル・リミックスが出ているので、音質も格段に向上しているはずです。クラプトン、リンゴ、レオン・ラッセル、ジェシ・エド・デイビス(故人)、ジム・ケルトナー等、バックも大物が勢揃いです。

【4.Wah wah (George Harrison)】
 収録アルバムは3と同じ。この曲も大好きです。この曲は有名な「バングラデッシュ救済コンサート」のビデオでは、ジョージが登場した第一曲目に演奏されていました。僕は昔このビデオでこの曲を見て聞いて、大変なショックを受けました。真っ白いスーツ上下で出てきた、髭だらけの痩せたジョージ。大勢の大物のバックミュージシャン。ドラムスはジム・ケルトナーとリンゴ・スターのツインドラムス(両者が完全にシンクロしてドラムス叩く姿は感動ものでした)。大勢の白人黒人男女混合バックコーラスが身体を揺らしながら「Wah~ wah~」と歌い、ジョージが喉を振り絞るようなボーカルでこれに答える。もの凄かったです。ブラス・セクション、スライド・ギター。ベースはクラウス・ヴォアマンでした(下記リボルバーのジャケットを書いた人です)。動くジェシ・エド・デイビスを見たのはこれだけでした。SGを持つクラプトンが若い!人生を大きく変えさせられたビデオです。俺もこんな風にこれからの人生を生きていこう。そう決心させてくれた曲でした。

5.飲んだくれランダムトーク
 さて今邑tetsu海君、また君の爽やかな解説を、お願いできるかな?
【Seasons of love】

【6. Jingle(ourselves)】

【7.Ding dong, ding dong (George Harrison)】
 収録アルバム「ダーク・ホース」(競馬の「穴馬」のこと)。シングルカットされて僕が中学校の時に良くFM局で流れていました。非常にシンプルですが前向きな歌詞で、鐘を鳴らして古きを捨て、新しきを入れよう。偽りを捨て真実を取り戻そうという事を言っています。鐘の音はお馴染み、学校の始業時のチャイムあのメロディですね。このアルバム録音の頃のジョージは
、ダークホースレーベルの立ち上げ、ソロになってから初の全米ツアー、そしてこの最新アルバム(当時)の録音と、もの凄く多忙だったらしく、録音された声も完全なしわがれ声になっていましたが、それが逆に格好良かったんだけれどもね当時は。あまり知られていないことですがこのアルバムにはLAエキスプレスの名義で、トム・スコット(sax)やロベン・フォード(g)も参加しています。タイトル曲「ダーク・ホース」の生ギターのカッティングは、ロベン・フォードなんですよ。彼はジョージの全米ツアーでも帯同したそうです。

【8. 長澤さん(Beatles)】
 収録アルバム「Sgt.Pepper's lonely hearts club band」。何、皆さんご存じ、最後の曲が終わった後の2万ヘルツ以上の「犬にしか聞こえない」高音(しかしそんな高音、CDの収録可能周波数を上回っているのですが?)の後に続く、ビートルズの面々が乱痴気騒ぎをしている中での、ジョンの歌(意味不明)とジョージの声です。LPの初期プレスでは、B面の盤の内側、最後の最後の内側の溝に録音されていて、LPが終わると針を上げるまでずーっとループで流れていたそうですが、その後プレスされたLPでは、曲のようにたった1回だけ録音されて終わってしまっていました(僕が昔聞いてたのはこっちでした)。現在はCDになってこのように、ループしたままフェードアウトするという方式にミックスが変わった訳です。ココのジョージの声が「長澤さ~ん」と言っているように聞こえるというのは、コアなファンの間では有名な話です。長澤まさみが生まれる20年以上前のアルバムなんですが?

【9.Christmas time is here again(Beatles)】
 収録シングル「Free as a bird」。この曲は昔は一般人には全く手に入らない曲でした。ビートルズ中期の頃、ファンクラブ会員の為だけにクリスマス用に作られたソノシートに収録されていた曲だということです。僕は1990年代、アメリカのロック音楽専門FM曲でクリスマスの頃にこの曲を聴いて、成る程アメリカはこんなレアな曲も流せるのか、大したものだと関心した事を覚えています。今や皆が聞ける曲になって良かったです。ジョージのクリスマス・メッセージだけをオンエアでは流しました。声が若いですね。

【10.Savoy truffle(Beatles)】
 収録アルバム「The Beatles」、通称ホワイト・アルバム。D面3曲目でした。僕は昔からこの曲大好きなんです、小品ですが。ブラス・セクションは上記「サージェント・・・」のジョンの「Good morning,good morning」でも参加したジェイク・コンセプション。非常に分厚い低音が印象的な迫力ブラス・セクションです。「サボイのトリフ」という意味ですが、歌詞は甘い食べ物を連発しています。親友エリック・クラプトンの甘党ぶりを歌ったとのことですが、本当でしょうか?歌詞で一部同アルバム収録の「オブラディ・オブラダ」の事を語っていますが、軽いジョーク程度だと思います。

11.あっしートーク
【Heart strings (David Forter)】
 収録アルバム「David Foster」。B面1曲目でした。このアルバムは日本だけの企画盤だったようで、現在市販されている同アルバムとはジャケットも中身も全然違います。はっきり言って日本向け企画版の方が良かった!この曲もそんな日本向け企画盤にのみ収録されているインスト曲です。

 この曲がBGMの時のFMラジオでの僕ら二人のトークは、オリオン座の話から始まって、宇宙の広さ、大きさを「光年」という単位でお話ししたのです。

 1光年とは、光が1年間に進む距離。光はあらゆる物質の中で最もスピードが速いもので、何人も光の速度を超えて飛ぶ事はできません。詳しくは相対性理論を勉強してみて下さい。面白いですよ。さて光は1秒間に30万km(地球から月までの距離)を進みますから、1光年とはその「30万km」を「60(秒)×60(分)×24(時間)×365(日)」倍した距離ということになります。今は電卓があるから便利です。何kmになりましたか?多分冒頭は「9」だと思いますが、あんまりデカすぎてkmで現しても実感が湧きません。なので「1光年」という単位を使っている訳です。

 さてこれを使うと、太陽に最も近い恒星は4光年、北斗七星の星達は約30光年前後、オリオン座の2つの1等星(ベテルギウス、リゲル)は500光年、オリオン大星雲は1000光年の彼方にあります。そして、我々の銀河系の楕円の渦の直径は10万光年、銀河系に最も近い隣の銀河、アンドロメダ大星雲が230万光年、僕らが町で買える普通の小さな望遠鏡で見える最も遠い銀河が約6500万光年、そして宇宙の果ての果ては150億光年彼方にあります。

 ふう。遠いですね。でもこれは夢物語りではなくて現実のお話しなのですよ。そんな深遠さが貴方が毎日見上げている星空の彼方に隠れているんです。
 ジョージは今は、何億光年彼方に行ってしまったんだろうか?

【Times like these(Gary Burton)】
 収録アルバム「Times like these」。ケンブリッジのレガッタ・バーで見たゲーリー・バートンのライブでは、パット・メセニーがこれをバックで弾いていました。ベースがマーク・ジョーダン、ドラムスはピーター・アースキンでした。このアルバムではギターはジョン・スコーフィールドです。サックスは故マイケル・ブレッカー。

【12.I want to tell you(Beatles)】
 収録アルバム「Revolver」。日本公演の時には既に録音に入っていただか、入る直前というこのアルバムを、僕は上記アルバム9と同様に大好きです。この曲は昔から好きでしたが、イントロから最後まで、短い曲なのに非常に希な、ある緊張感が漂っています。ギターは音色からストラトキャスターですよね。ジョージは後に、自分はかなりの「ストラトキャスターおたくだ」と語っていたことがあります。一般的にはグレッチのカジノのイメージがありますが、後期からはストラト大好きだったみたいです。ポールのピアノとベース、リンゴのどたどたドラムスも渋いです。ジョンはコーラスと手拍子参加のみか。奇跡のジョージ来日公演の1曲目だったそうです。当時観客は、このイントロを聴いて熱狂したことでしょうなあ。

【13.This boy take 15(Beatles)】
 収録シングル「Free as a bird」。初期のアルバムに収録されていたこの曲のNGテイクです。ラストの部分だけをフェード・インして流しました。ハモの歌詞の「This boy」を「That boy」と本当に微妙に誰かがミスして、最後には完全に間違えて3人が大笑いして演奏が止まってしまうというテイクですが、ジョージは最後の大笑いの、高くて小さな声で笑っているの方だと思います。まだ本当に若く、エネルギーとやる気の漲っていた初期ビートルズのみずみずしい雰囲気が出ていて、ジョージがいない今では、それが逆に胸にぐっと来るような甘酸っぱい気持ちにさせられます。これで本日は僕らの番組のオンエアを終えられて、とても嬉しく思いました。
短いけれども、僕の渾身のミックスダウンの曲でした。

神の御子は今宵しも-クリスマス・ソング特集(12月15日)2007年12月17日 16時00分20秒

 マスターのアッシーです。
 12月15日(土)18時からFM熱海湯河原で放送した僕らの音楽トーク番組「Evening cafe 135」」で流した、素敵な曲の紹介です。

1.【In all my wildest dreams (Joe Sample)】
 収録大ヒット・アルバム「Rainbow seeker」(虹の楽園)。2曲目に入っている曲でした。ギターのデビッド・T・ウォーカーの下手うまギターが大変魅力的な曲です。タイトルに反して、とても大人しい、静かな曲ですよね。デビッド・T・ウォーカーはマスターが学生時代に大好きで、当時来日したクルセイダーズのツアーにも同行してる彼をマスターはライブで見ているのです。白髪交じりの長い顎髭、背広で眼鏡をかけた、何でも知っている村の長老然としたタイプでした。いやあ、渋かったですよお彼のギター。フル・アコースティック・エレクトリック・ギターを、ノー・ディストーションのクリアなサウンドで弾くのです。最近ああいうタイプのギタリストが少なくなりましたね。皆さん、何でもそうですが人間、ただうまけりゃいってもんじゃないんです。そこに「その人」でしか出せない味があるかどうか。これはとても重要なポイントです。お前じゃなきゃダメなんだ、という奴です。デビッド・T・ウォーカーはまさにその、彼しか出せない唯一無二のサウンドを、自分のギターから作り出していました。(故エリック・ゲイルとかコーネル・デュプリーともか、この仲間に入りますよね)。10年くらい前、吉田美和のバックでライブ演奏してたのをTVで見てぶっくらいこいたです。最近私はこの曲をサンプリングした米国黒人ヒップポップの曲を、とある所でやたら聴きます。それで原曲をかけたくなった次第です。しっかしヒップポップの連中は、素材として何でも使うなあ。

2.【Dance with me (Earl Klugh)】
 収録大ヒット・アルバム「Finger painting」。ドラムスはスティーブ・ガッドですが、非常に軽快に叩いてます。オーリアンズのとても有名なヒット曲のインスト版コピーですね。オーリアンズ、日本ではこう呼びますが元々の発音は「ニュー・オリンズ」と同じですから、「オリーンズ」が正解です。大本は「オルレアンの戦い」と同じ、フランス語の地名ですよね。「Finger painting」は是非一度聞いて頂きたい名盤です。とてもスイートな曲がたくさんで、名演奏、名曲が目白押し。僕はこの曲は大学最後のライブで、友人が弾いたのを手伝って一緒に弾いた覚えがあります。卒業記念ライブだったのですが毎年恒例で出演者も客も飲みながらというシチュエーションのライブで、べろんべろんになりながらソロ回しを8小節くらい二人で交代で延々と引き続けた。良く弾けたなあ。でも24年経った今でも記憶しているくらいですから、大して飲んでいなかったんでしょうか?(いいえ、違います)

3.【Bill Evans (Lyle Mays)】
 収録アルバム「Fictionary」。ライルメイズのソロ第二弾アルバムでした。彼はビル・エバンスの大ファンだったようで、エバンスにちなむ曲をいくつか書いています。この曲はもろビル・エバンスの名前を付けていますんで、演奏もエバンス派らしく弾いています。これならビル・エバンス本家本元を選んだ方がいいかなあとも思ったのですが、何故かこの曲そのものが一番今回のトークBGMに合っているような気がしてね。ライル・メイズはパット・メセニーともう30年以上も一緒にバンドを組んでいる相棒です。彼らのコンビは長いですね。ライル・メイズは日本酒が好きだと昔聞いたことがあります。(ホール&オーツのダリル・ホールも大の日本酒党です)

4.【O come all ye faithful (Take 6)】
 収録アルバム「He is Christmas」。もの凄く素晴らしいアカペラ賛美歌で、今日の番組の最も重要な曲です。日本ではこの曲は「神の御子は今宵しも」というタイトルで教会等で賛美歌として歌われているようですが、「しも」って何だよ!(強勢語ですよね)。皆さんもどこかで聞いた事があるメロディでしょう?でもこんなに完璧な、テンションもばりばり入るステレオ・ハーモニーで聞くと、感動もひとしおですよね。「ye」はミススペルではありません、古英語です。Take 6は元々教会で賛美歌をバリバリに歌ってきたクリスチャン・クワイヤーですから、この手の曲は得意中の得意だと思います。

5.【遠い旅の記憶(あらひろこ)】
 収録アルバム「Moon drops」。彼女は札幌在住のカンテレ奏者で、これまでにCDを2枚出しています。これはその2枚目の最新アルバムの3曲目。今日の番組は上記4を聞いてから、突然クリスマス特集にしようとマスターは思い立ったのですが、そのsacredな、聖なる雰囲気にピッタリな曲なので、喜んでオンエアさせて頂きました。僕らのもう一つのインターネット店舗では何回かトークの冒頭でこの曲を流したことがあります。実は彼女、僕の大学時代の後輩なのです。何回か共演したこともあります。昔はキーボード奏者だったんだけどなあ。地元札幌ではライブやカンテレ教室もたくさん開いて、アクティブに活動しているみたいですよ。つい先日もワールド・ツアーの最終日で東京・東池袋の、フランク・ロイド・ライトが設計した素敵なホールでライブをやって、盛況だったみたいです。という訳で、良かったら下記サイトにも遊びにいってやって下さい。カンテレはフィンランドの民族楽器です。西洋琴みたいなもんです(違うかな?)
KANTE-Letter(あらひころ)

6.飲んだくれランダムトーク
 【Build to last(レイメイ)】
 いやあ、この曲はいい曲でした。スピッツが英語で低音で歌ってるわあと思いました。久しぶりにいい曲を聴いたなあという印象です。シングルカットにピッタリなキャッチーな曲でした。それでは今邑tetsu海君、解説をよろしく哀愁デート。この歌手は中国の女性ではないよ、米国おのこバンドだよってことも併せて解説して下さい。この曲、ミキシングの時にレベルが非常にピーキーで、ボリュームを落とすのに苦労したという逸話も、マスターから併せて紹介します。今時の曲は本当に音がぎっしり詰まっていますなあ。キャロル・キングの名盤「Tapestory」なんか今聞くと、逆にスッカスカですけど。

7.【Ringing the bells of Christmas(Larry Carlton)】
 収録アルバム「Christmas at my house」。ラリー・カールトンが1989年頃出したクリスマス・ギター・インスト・アルバムです。この曲はそのアルバムに2曲しかないボーカル入り(女性)の曲のひとつ。ラリー・カールトンはボーカルのバックでギターを弾くと、そのギターの上手さが一段と際立ちますね。

8.【We've been told (Jesus is coming soon)(Eric Clapton)】
 収録アルバム「There's one in every crowd」(邦題「安息の地を求めて」。格好いい邦題だと思いませんか?僕は元々圧倒的に原題主義者ですが(そんなのあるのか?)、このアルバムに関してだけは邦題のみをずっと記憶していて、CDを買った今でも原題を全然思い出せません。あはは、何でだろう?完全に行っちゃったギョロ目でこちらを見ている、顎を木の椅子の上に載せたいかれた犬と茶色いジャケットもいい感じです(これ、クラプトンの愛犬だったそうです)。この頃のクラプトンは生ギターにとても凝っていて、この曲も生ギターでピッキング、カッティング、及びスライドでのソロを弾いています。良く聞くと1弦のチューニングが若干♭気味なんだな。チューニングちゃんとしましょうね。イヴォンヌ・エリマンちゃんのバックコーラスもノリノリです。私は「The core」での彼女のコーラスとボーカルにしびれましたが、これは本当に長い曲で8分もあるのよ。いつかかけたいですね。このアルバムは全体的にレゲエ帳の曲が多いです。Ocean Boulvardの後に出たアルバムで、中学生時代はこのジャケットと邦題にやられ、随分興味を持っていたアルバムでした。日本でのみ1998年頃にデジタル・リマスタリングされています。海外でもこの日本版はマニアには人気みたいです。すんごくクリアな音になっているのは、そのためです。この曲は元々はtraditionalです。

9.【Jingle(わしら)】
 いつものやつね。

10.【The water is wide(Karla Bonoff)】
 収録アルバム「Restless nights」。大好きなアルバムです。この中の最終曲。元々はこれもtraditionalですが、色々な人が録音してますが、僕は彼女のこのテイクが一番いいと思う。バックコーラスにジェームス・テイラー。それとアコーディオンの演奏が素晴らしいですね。ソロをいつ聴いても、どうやってこんなフレーズが思いつくのかと(歌のコードと同じ進行なんですが)いつも関心してしまいます。歌が始まってもずーっとサポートしているし。カーラ・ボノフは僕は今まで、1993年、2004年の2回の来日ライブを見に行っています。両方とも凄く良かったです。前者はJ.D.サウザーと二人で来ましたが、生ギターはJ.D.より明らかにカーラの方が腕が上でした。かなりギター、上手いです。後者はこのアルバムのプロデューサでもあるケニー・エドワーズがベースで来るというのでワクワクして見に行ったのですが、非常に普通の演奏をするただのオヤジでしたわ(笑)。でもカーラは相変わらず上手かった。「Goobye my friend」をピアノで歌った時は、不覚にも胸が一杯になってしまった。既にかなりの妙齢のはずだけど、声は全く持って衰えていないのが不思議です。この頃のキーと音色のままでした。参ったなあ。本当に歌もギターも、ピアノも上手いです。

11.【Angel (Sara McLaclan)】
 収録アルバム「Surfacing」。この歌はカリフォルニア州サンノゼのソフトロック専門FM局で頻繁に流していた時に知ったのですが、こんなにすごい曲があるんだと驚きました。異様に静かなんですが、人の心を非常に打つ曲です。このアルバムは全米では400万枚も売れたんだそうですが、日本ではおそらく知っている人はとても少ないアルバムなんではないか?J-popが流行りだした頃からの現象でしょうけど、今の日本の若い人は本当に洋楽を聴かなくなりましたね。J-popで完全に満足しているようでもあります。FM局やTV局の音楽番組の影響か、或はもう日本の若者達は日本の音楽で完全に満足してしまって、外国の音楽には耳を傾ける必要性が無くなったのか?サラ・マクラクランはアメリカでは知らない人はいない程の有名な歌手です。非常にカリスマ性もあり、かつ女性だけのライブを主催するなどのアクティブな面もあります。

12.【Amen(アッシー)】 
 原曲はゴスペルですが、僕が参考にしたのは上記4の「He is Christmas」です。ここに収録されていたTake 6のこの曲が頭にあり、曲が続いた後にかけるインタールードを探している内に、あれでも歌うかと戯れに歌って録音したのを、そのままオンエアで採用してしまいました。この辺りのインタールードでは、僕はいつもはくだらねえ事を語っているんですが、何せ今日はクリスマス特集ですからね。変なしゃれも無かろうと、歌にしたという訳です。最後に「B面?」と言っているのは単なるオヤジギャグです聞き流して下さい。戯れに録音はしたんですけれども、オンエアされた事によって、この曲は自分の歌をラジオの電波で流した初めての曲になってしまいました。あらら。この番組で僕が歌うことがあるとはね。(マスターは元々は売れない売らない歌手です。アマチュアという意味ですね)

13.【遙かなる日々のために(Wong Wing Tsan)】
 収録アルバム「さとわ」。Wong Wing Tsanは日本生まれ日本育ちの台湾系ピアニスト男性です。とても優しいピアノを弾く人です。このアルバムは一般には手に入りにくいかも知れません。僕は10年ほど前、このアルバムを企画製作販売していた会社の社長さんの所である小さなお手伝い仕事をしたら、何故か帰りがけにこのアルバムを頂きました。聞いてみたらとても良かった。思い出深いアルバムです。この曲は1分半くらいしかないのですが、長く印象を残す佳曲だと思います。Wong Wing Tsanさんは元々は日本名で山下達郎のアルバムにも参加したことのあるセッション・ミュージシャンですが、NYCに渡米して音楽修行をしている頃からある心の変化が現れ、瞑想を通して自分の中が劇的に替わり、それまでとは全く違う生き方、違う音楽のアプローチをするようになって今に至るそうです。この12月は浜離宮ホールで複数のクラシック・ミュージシャンと共演していましたね。今は元気かな?一度だけたくさんの彼のファンと一緒に、彼を囲んで飲んだ事があります。

14.【Grace(吉田美奈子)】
 収録アルバム「KEY」。この曲を初めて東京のFMラジオで聴いたのは10年前か?歌詞にとても衝撃を受けたことを覚えています。元々吉田美奈子の歌詞は山下達郎の中期までの歌詞をたくさん書いててコーラスでも参加してて、自分にとってはとても身近で、かつ大好きだったのですが、この曲の歌詞はまた一段とレベルが上です。一度番組でかけたいと長い間思っていた曲でした。こういうクリスマス・ソングの機会に流す事できて、この曲にふさわしい場で良かったです。吉田美奈子は、僕の周りのバンドのメンバーに彼女を好きな人が多くて、常に僕は彼女の音楽の話を聞く環境に昔からありましたが、初めて彼女のライブに僕が見に行けたのは1997年とごく最近です。岡沢章、難波弘之、山木秀夫などの凄腕達が、美奈子の方を向いて笑いながらびゅんびゅん弾いてたのを思い出します。すごいライブでした。MCは結構コミカルで笑えましたけど。本当に自分のこと「僕」って言ってたなあ。吉田美奈子は明らかに日本のシンガーの中でも他と一線を画している高いレベルのシンガーです。 彼女の素晴らしさは、歌詞なら山下達郎の「Sparkle」(収録アルバム「For you」)、「Daydream」「Some day」(同「Ride on time」)を、またコーラスなら同じく達郎の上記「Sparkle」、或いは達郎のライブ2枚組アルバム「It's a poppin' time」をどうぞお聞き下さい。マスターは個人的には山下達郎は、吉田美奈子と一緒に仕事をしていた中期までが大好きで、その後彼女と仕事をパタとしなくなってからは、ジョンがいなくなったレノン・マッカートニーを聞いているようで、ある決定的な何かが無くなったような気がして、昔ほど前のめりに聞けなくなりました。そういう方は多いのではないかと思います。彼女の持つあるカラフルさ、色彩感覚が、その後の山下達郎には無くなってしまったのです。結婚したっていいじゃない、一緒に仕事すればと思ったのですが、そうは行かなくなったのでしょうね。彼女のお兄さんが、山下達郎がずーっと一緒にレコーディングをつきあってもらった、レコーディング・エンジニアの吉田保さんです。お兄さんは大瀧詠一の「A long vacation」も録音しております。

マヘリア・ジャクソン-クリスマス特集(12月22日)2007年12月22日 17時44分52秒

 「Evening cafe 135」マスターのアッシーです。
 今日は冬至。そして数日後はクリスマス!

 12月22日(土)18時からFM熱海湯河原で放送した僕らの音楽トーク番組「Evening cafe 135」」の、素敵な曲の紹介です。

【1.Merry Christmas (Larry Carlton)】
【2.White Christmas (Larry Carlton)】
8.何ちゃらトーク
 【Walking in the winter wonder land (Larry Carlton)】
9.【The little drummer boy (Larry Carlton)】

 収録アルバム「Christmas at my house」。先週もかけたラリー・カールトン名義の1989年のクリスマス・アルバムからの曲たちです。どれも有名な曲なので敢えて説明する迄もないとは思いますが、最後の「The little drummer boy」だけはラリー・カールトンのギターの出だしが異様にブルージーで全くの別物でした。歌のメロディ部分がギターで聞こえるまでは、「これは一体何の曲?」と皆さんも皆目分からなかったことと思います。

 僕はこの「The little drummer boy」が昔から好きで、でもタイトルが分からず困っていましたが、ドラムスの歌だったのね。あの「パー・ラパパン・パアーーン」と、曲中で20回くらい繰り返す擬声語は、ドラマーのスネアの音だったのですね。
 この曲は出来たのは1958年と、ものすごく最近です。歌詞によるとこの曲は、イエスが生まれた時代に彼の地で生きていた貧しい羊飼いの少年が主人公です。彼が風の噂でイエスが誕生したと知り、「僕は貧しくて、イエス様が生まれたお祝いに差し上げられるものが何にもないので、代わりに大好きな太鼓を叩いて、救世主の誕生をお祝い致します。」という内容なのだそうです。くーっ、泣かせるぜ少年!(生きてれば二千歳)

 歌詞はこんなあらすじです。実際の歌では歌詞の各行の後ろに全て、「パー ラパパン パーーン!」と入ります(スネアのヒット音の擬声語です)。英語では各行の後ろの韻を揃えていますが、僕は日本語のリズムの真骨頂である「五七調」で訳しております。意味は合ってると思います。何故か途中で九州弁になっております(リズムを合わせる為で、意味なし)。


 小さな太鼓ボーイ (訳詞 アッシー)

 風の噂に聞きました
 僕らの王が生まれたと
 この世でベストの贈り物
 王と一緒に生きること

 かわいいかわいい 赤ん坊
 僕は貧しい子供じゃけん
 贈り物など無いけれど
 これこそ心の贈り物
 
 貴方の為にこの太鼓
 演奏してもよかですか?

 羊のメアリーうなずいて
 雄牛と子羊 足鳴らす
 僕の太鼓は君にこそ
 あらん限りに叩きます
 
 あれれ 赤ちゃん 笑ったよ
 僕と太鼓も 笑ったよ


【3.Ark the herald angels sing (Take 6)】
 収録アルバムは先週もかけた「He is Christmas」。ここのHeは「彼」(代名詞)ではなく、「救世主」という固有名詞ですので、ここでは文の冒頭にあるが、真ん中に来てもどこでも大文字で始まります。この曲は邦題では「あまにはさかえ(天には栄え)」と言うそうです(賛美歌98番)。わっかりにくい古語ですね。新しく出版された賛美歌では21番となり、邦題も原語に近い「聞け、天使の歌」となっています(原題の意味は「天使のお告げの歌を傾聴せよ」)。彼らTake 6(テイク・シックス。「タケロク」ではありません)の六声はどの曲も素晴らしいですが、先週の「神の御子は今宵しも」とこの曲では特に凄いなあといつも思います。ちなみにこの曲、作曲はメンデルスゾーンらしいです。この曲はメロディを聞いたなら誰でもが、「ああ聞いたことある!」と言う様な、非常に有名な曲です。

【4.Plese come home for Christmas (Bon Jovi)】
 収録アルバム「A very special Christmas 2」。NYC在住だった画家、故キース・へリング作と思われるイラストがジャケットのクリスマスCDです。ボン・ジョビのファンのリスナーの方、お待たせしました。やっとここに彼らの曲を書けることができましたよ!この曲は元々チャーリーブラウン(スヌーピーじゃありません)作のR&Bというかブルースというか、ですが、有名なのは1979年頃に発表されたイーグルスのシングル盤のテイクじゃないでしょうか?あの曲、CD化されてますか?B面は「ファンキー・ニュー・イヤー」だったんですけれども、僕は未だにドーナツ盤しか知らないのです。マニアの方々、どうぞ教えて下さい。これはボン・ジョビのテイクですが、あまり期待しないで来たが非常に良かった。ラストに弾くリッチー・サンボラのギターがとってもいいです。めっけもんでした。昔リッチー・サンボラとレス・ポールの二人のギター雑誌での対談を読んだことがありましたが、「5万人のアリーナで弾くときにこそ、ギタリストは自分の内面に集中して、内面に向かって真摯に弾かなければならない」という、とても精神的な事を語っていました。それで僕はこのリッチー・サンボラという男は本物だなと信用したという経緯があります。

5.飲んだくれトーク
 【You make me feel brand new (Stylistics)】
 邦題「誓い」。今日は「誓い」について語ったのでありました。それでは今邑tetsu海君、どうぞ。

【6.Jingle(わしら)】
 いつものやつで。

【7.Revelation (Yellowjackets & Take 6)】
 収録アルバム「Live wired」。イエロージャケッツがサックスに、これまでのアルトサックスのマーク・ルッソから、テナーサックスの名手ボブ・ミンツァーを迎えた直後に出たライブ・アルバムです。この曲はこのアルバムのラストに収録されていた曲です。これで2度目の録音で、イエロージャケッツが最初にこれを録音したのは、まだロベン・フォードと一緒にやっていた時代で、曲のテーマはロベンがギターで弾いておりました。マーク・ルッソもボブもそれぞれの時代にこの曲を吹いているらしいので、随分息の長い曲ですね。ピアノのイントロや、今回Take 6が歌詞付きで歌っているテイクからも分かるように、この曲はkbのラッセル・フェランテ作曲のゴスペルです。というかタイトルからして「Revelation」ですからね、もろゴスペル(神の福音)ですよね。「John's revelation」というと何だか分かりますか?「ヨハネの黙示録」ですよ。revelationは「新しい事実、発覚、啓示、お告げ、預言」というような意味があります。おそらくですが動詞reveal(明らかにする、暴露する)も同じ語源でしょう。何だかラジオ英語講座みたいになって来ました。

 欧米のホテルには必ずと行っていいほど聖書が部屋に置いてありますが、どこに行っても最後の章が「John's revelation」なので、僕は自分がキリスト教徒という訳ではないのですが、昔は聖書というとこの章を特に好んで読んでおりました。あの意味分からない、ホラーショーかSFのようなエキセントリックなシーンの後、最終戦争のようなすさまじいシーンが現れ、最後にはこれらが転じて福音の世となり、キリストが何千年ぶりかでこの地に再び姿を現すという、何だか映画のような章でした。しかし一説にはこの章は文字通りに読んでも訳が分からないようにヨハネが予め意図して難解に書いた暗喩で、正しく読めば、本当にヨハネが後世に伝えたかった事が分かり、それは今まで誰も知らなかった内容(しかし今では大多数の人々が気が付いている「福音」)だということです。さてそれは何か? こういう事は諸説紛々で面白いですね。

 さてこの曲、イエロージャケッツとTake 6との共演なのですが、最後の最後のTake 6のメンバーによるシャウトが、ゴスペル教会で黒人牧師が良くやる説教みたいで、迫力もあって格好いいですね。アドリブ・シャウトの意味は「僕は昔は盲目同然だったが、今は違う。やっと分かった。啓示を聞けて本当に嬉しい。」という様な事を言っています。こんなのライブで目の前でアドリブでシャウトかまされたら、誰だって大絶叫だと思いますよ本当。曲が終わった直後のお客さん達、大喜びです。

【9.The lord's prayer (Mehalia Jackson)】
 収録アルバム「エッセンシャル・マヘリア・ジャクソン」。曲の邦題は「主の祈り」。マヘリア・ジャクソンはゴスペル界で最も有名な女性シンガーの一人です。この曲は1958年のニューポート・ジャズ・フェスティバルで歌われ、映画「真夏の夜のジャズ」のラストを飾った、まさにその映画の、あのライブの音源そのものを、デジタル・リマスタリングされたテイクをご紹介しました。

 みなさん、「真夏の夜のジャズ」、是非一度ご覧になって下さい。凄い映画というか、ライブです。蒼々たるメンバーが出ています。チャック・ベリー、サッチモ、モンク、アニタ・オデイ、そして映画での大トリが彼女マヘリア・ジャクソン。
 彼女は映画では合計3曲歌うんですが、どれもピアノとオルガンの伴奏のみのシンプルなものなのですが、それでも彼女の歌の迫力がすんごいんです。でっぷり太った黒人のおばはんが歩いてきたなあと思ったら、巨体を揺すって凄い迫力で歌い出す。しかも全曲がゴスペルで、「皆んなが天国のことを話してる~」とか、「雨が降ってきたよ 恵みの雨が」とか、全編「神」。見ていた白人の観客は最初は「あん?何だあのオバハン?」という感じで雲子座りでハスに構えて見ているんですが、マヘリア・ジャクソンが歌い出した瞬間、みんな雷に打たれたようにビクンとなり、ついで2曲目では白人突っ張り・カップルも踊り出しちゃったりして。手拍子を打つは、「おい、あいつスゲエぞお!」と隣のダチに叫んで大喜びするわで、もう大騒ぎなんです。

 マヘリアは2曲目の「雨が降ったよ」を歌い終えた後に大熱狂で拍手する観客の嵐のような歓声に笑いながらもとてもビックリして言います。「You make me feel like I'm a star.」(おお、ここで今邑tetsu海君の選曲との、微妙なシンクロニシティが!)

 そして最後の最後にピアノのイントロが静かに始まって、大騒ぎの観客を前にこの「主の祈り」の出だしが始まるのです。(これは一部、古い英語です)
 
The lord's prayer

 Our Father
 Which art in heaven
 Hallowed be
 Thy name

 Thy kingdom come
 Thy will be done
 In earth as it is
 in heaven
 
 Give us this day
 Our daily bread

 And forgive us our debts
 As we forgive us our debtors
 And lead us not into temptation
 But deliver us from evil

 For thine is the kingdom
 And the power
 And the glory,

 forever,
 Amen

 全身全霊でこの曲を腹の底から歌い込んだマヘリアは、歌が終わるとまた素の人間に戻って、まるで最後の覚悟を決めて無敵の武士となって単身敵陣に切り込んで行った古武士がふと一瞬我に返るように、先程までの気合いの入った戦士のような顔から破顔一笑、少女っぽい笑顔でにこりと微笑むと、先程の数倍の大歓声に沸き返っている観客を見て、あーどうしようー、わたし家に帰れるかしら?という様に天を見上げて、確か両手を、水色のワンピースの胸元で、仏像を拝むように組んでいたような気がします。彼女は歌い終わった後は、ずーっと微笑んでおりました。

 僕はこの映画を見た後、腰が砕けて立てませんでした。遠くに古い型の車が埃っぽい道路を走り去り、映画のタイトルが英語で画面に現れましたが(「Jazz on a summer's day」。「夜」ではなく「夏の日」だったんです原題では)、それらもその時はぼーっと見ているだけで、ほとんど目に入りませんでした。ひたすらマヘリア・ジャクソンの凄い歌を聴いたことの感動に浸っておりました。

 僕がこのリバイバル映画を見てから早20年が過ぎようとしていますが、こうして書いている内に、まだあのときの感動が蘇って来ます。
 マヘリアは既にこの世を去り、今はこの曲や、この映画のことを知る人も少なくなりましたが、それでも僕はこの曲、この映画は、長く後世に伝えて行かねばならないなあと思っています。何故なら時空を越えて僕らの胸に突き刺さる、本物中の本物の音楽だからです。
 今回のクリスマス特集の本当の目的は、この曲を熱海湯河原のみなさんに聴いて頂くこと。この曲を日本中の、世界にいる日本語が分かる方々に、もう一度注目して聞いて頂くことにあるのかも知れません。

 「The lord's prayer」は1980年代後半、ラリー・カールトンが生ギター・アルバム「Alone/But never alone」のA面ラストで、生ギター・インストで録音していますが、おそらくこのニューポート・ジャズ・フェスティバルでのマヘリア・ジャクソンのテイクに触発されての録音だと思います。このテイクのラリーの演奏も非常に崇高な、是非皆さんに聞いて頂きたい演奏です。
 
【10.Close to home (Lyle Mays)】
 収録アルバム「Lyle Mays」。番組は終わって、ラストのラストのエンディングでつなぎのように流した曲です。ライル・メイズの1980年代後半に出したソロ・アルバム第一弾のラストに収録されていた曲。家に帰る、あるいは故郷に帰る足取りのようなものが感じられる曲です。僕らは僕らが本来属していた「故郷」に戻っている最中なんだろうか?或いはそこからどんどんと遠ざかりつつあるんだろうか?そんな事を思いながら収録しました。

 クリスマス特集、いかがでしたか?絶妙のトークとは裏腹に、音楽はかなり厳選してお届けしました。少なくとも他局では絶対に聞けない「本物」をお送りしようと努力致しました。キリスト教徒でもない私が色々と失礼致しました。それではまた来週。

 ps. みなさん、今日は冬至ですよ。キリスト教以前の西洋では、「死と再生の日」。今日が一年のうちで一番、昼が短く、夜が長い日でした。明日からやっと少しずつ、今まで短かった昼が、日一日と少しずつ長くなりますよ。今晩は「ゆず湯」に入りましょうね!暖まりますよ!年に一回、「冬至」の今日だけの特典ですよ!